愛ハムはメップルであった

愛ハムである、ぷでぃおがハムハムランドへ旅立った。

まいがのび太ばりの脱力感を振りまいている時、ぷでぃおはハムスターとしての能力を最大限発揮し、ホイールを回しまくる。大好物の胡桃からつくられた身体は当然デカい。ホイールから発せられる音はガラガラと重量感がある。態度もデカく、まいだけでなく来客者や獣医師に対しても「ジージーッ!!!」と、威嚇しまくる。木で作られた巣箱を破壊し、常に屋根を引っ掻きまわしていた。そんなぷでぃおだから、まいはぷでぃおは死なないと思っていた。しかし呆気なく死んだ。

まいはふたりはプリキュアを見て、人間ではない相棒的存在がムショーに欲しくなっていた。ふたりはプリキュアは少女漫画的要素が大きく、戦闘シーン以外に女子中学生の日常生活についても詳しく描かれていた。また挿入曲も、なのにどうして?今日もこうして!チョコ食べまくる、くる、くる♪や、そして朝練、学祭、他流試合(恋する時間が減ってるし!)♪など、ポップに明るく可愛く、食べ過ぎ&多忙について取り上げていて、まいのアイデンティティの一部として取り込むと、絶対的に可愛くタフになれると感じた。それが、ハムスターを飼うことによって、女子中学生の生活+‪α‬で、手間のかかるメップルのお世話をこなす、美墨なぎさ的な生活が送れるのではないかという考えにつながり、ペットショップにいたメップルみのある黄色いハムスターを飼い始めることになった。

イケメンの先輩は現れなかったし、ホントに恋する暇なんてなかったが、実習の戦いでは、チョコをバクバク食べ、テキトー感が否めなかったが、とりあえずタフにやり遂げた。自分との戦いである受験戦では、雪城ほのか並に勉強好きになり、ホイールで爆走するぷでぃおを横目にガチ勉できた。

突然、ぷでぃおの体調が悪くなり始め、獣医師に「残り数日」と宣告された。ぷでぃおは死なないと思っていたまいは、プリキュア的価値観を覆され、現実の世界に戻された。ぷでぃおが死んだ時、まいは相棒なしのただの人間に戻る。態度がデカく威嚇しまくるぷでぃおが弱り始めたため、初めて手のひらに乗せ、撫でることが出来た。もう、可愛いハムスターではなく、じいちゃんになっていた。泣いた。細胞内液も全て無くなるほど泣いた。だが、本人はされるがままだし、その時地震が来たが、全く気にする様子もなくて少し冷めた。やはりそうやって、可愛く?タフに構える姿勢が大切だと思った。また、ぷでぃおが死ぬ1日前、撫でようとすると「ジッ!」と、威嚇する様子が見られた。さすがメップルことぷでぃおだと感心させられた。もう、ぷでぃおが死んで物理的に居なくなっても、大丈夫だと思った。まいの心にはぷでぃおもプリキュア精神も残り続ける。

ぷでぃおが死んだ後、父親がお墓を作ってくれた。下駄のように四角い顔をした父親が、庭から1番墓っぽい四角い石を見つけ、作ってくれた。まいはチープな写真加工をし、ぷでぃおが成仏したように見せた。

今もなお、ホイールの重量感のあるガラガラ音が聞こえないことや、屋根を引っ掻き回すカリカリ音が聞こえないことがとても悲しいが、ハムハムランドには態度のデカいぷでぃおがいるはずだから、まいも可愛くタフにチョコを食べまくって生きていこうと思う。